2010年12月2日
一般社団法人 葉酸と母子の健康を考える会
1980年代に実施された数多くの試験研究により、胎児の神経管閉鎖障害等の脳脊髄奇形発生と葉酸摂取の因果関係が明らかとなった。これを受けて1992年に米国ですべての女性に1日0.4mgの葉酸を摂取すべきであるとの勧告がなされたのを皮切りに各国で同様の勧告がなされた。
さらに、米国、カナダ等においては一般家庭での葉酸摂取を普及するためにシリアル食品への葉酸添加も義務付けられおり、脳脊髄奇形発生率の明確な減少に繋がっている。
一方、我国においては、2000年に厚生省(当時)が全国の医療関係者に1日0.4mgの摂取を推奨するよう要請したのをはじめ、2002年からは母子手帳に葉酸摂取の必要性が明記されている。
しかしながら、神経管が完成し脳と脊髄が形成されるのは、胎生の第4週までであり、妊娠が判ってから葉酸摂取を増やしても、脳脊髄奇形発生のリスク低減には繋がらない。実際、我国においては、脳脊髄奇形の発生は減少しておらず、何らかの対策が必要なことは明白である。
一般社団法人葉酸と母子の健康を考える会では、このような現状を憂慮し、葉酸が現代女性と子どもの健康に果たす役割について広く情報を発信していくとともに、我国においてシリアル食品に代わるものとしてたまごからの葉酸摂取を呼び掛けている。
さらに、ここに次のような骨子で“葉酸と食育による脳脊髄奇形発生予防のガイドライン”[2010年提言]を発表するものである。
1.国民の栄養と健康にかかわるすべての医療・教育・行政・食品関係者が、今一度葉酸摂取の重要性を認識する。
1.葉酸摂取量は以下の厚生労働省2010年度版「日本人の食事摂取基準」に基づく。
「胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、妊娠を希望する女性は通常の食事に加えてプテロイルモノグルタミン酸として400μg/日を、受胎前から妊娠3か月まで摂取することが望ましい。」
1.あらゆる食品を通じてより上記摂取量が実現できるよう、葉酸含有量の表示方法を工夫する。
1.食品中の葉酸含有量の増加に努める。
1.葉酸を多く含むたまご等の食品について摂取方法・調理方法や献立等の情報を発信する。