
![4/3「葉酸の日」制定 20代~40代女性および医療関係従事者における 「葉酸」認知度調査 ■進まぬ認知[妊娠予備軍の葉酸認知率は未婚女性40%、既婚女性54%]■低い摂取意向[出産経験者のうち25%しか意識的な摂取せず]■医療現場でも推奨不十分[産婦人科における推奨・指導率は55%]](http://yo-san.jp/report/2007/03/tit_001.gif)
ライフスタイルの変化に伴い、晩婚化や少子化など、現代社会における女性の結婚・出産事情は大きな様変わりを見せております。特に妊娠の高齢化による出産リスクの増加については、多くの女性たちが関心を寄せており、社会的にも問題意識を持たれているテーマです。
そのような中、2000年に厚生労働省より、妊娠可能年齢の女性に対して「葉酸」摂取の呼びかけが出されました。ビタミンBの一種である葉酸は、胎児の生育において非常に重要な役割を担っており、2002年度より母子健康手帳にもその必要性が記載されています。ことに近年増加傾向にある胎児の二分脊椎症の発症リスク低減機能が期待されておりますが、既に欧米諸国では葉酸摂取の政策推進により発症率低減に大きな効果を上げている一方、日本では葉酸に関する積極的な情報提供が進んでおらず、摂取はおろか認知すら十分に浸透しているとは言いがたい状況です。
こうした背景のもと「葉酸と母子の健康を考える会」(以下本会)は、葉酸が、妊娠・出産を契機として現代女性と子どもの健康にいかに寄与するかの情報を提供することを目的に、2007年3月、東京慈恵会医科大学教授 兼 ドイツ・ハノーバー国際神経科学研究所(I.N.I)教授 大井 静雄を発起人として設立されました。本会は3月に行なわれましたマスコミセミナー(※)を皮切りに、今後葉酸に関するさまざまな啓発活動を行ってまいります。この活動の一環として、4/3の「葉酸の日」(日本記念日協会認定)を前に、一般女性200名(他に参考値50名)および医療関係従事者200名に、葉酸の認知度調査を行いましたので、その結果をご報告させていただきます。
※マスコミセミナーの概要は別添の資料をご参照ください。
調査では、一般の女性において葉酸の認知が依然進んでおらず、妊娠期においてもその摂取が意識されていないことが明らかになりました。また、医療従事者は葉酸の認知は高かったものの、葉酸の有用性や摂取量など認知内容において偏りが見られ、対象となる妊婦への摂取推奨も十分ではない現状が浮き彫りとなっています。
【結果概要】
■進まぬ認知 [妊娠予備軍女性の葉酸認知率は未婚女性40%、既婚女性54%]
-葉酸認知率は妊娠予備軍(20~40代)の未婚女性40.0%、既婚女性54.0%
-妊娠予備軍女性における葉酸の有用性「知らない」78.0%、有用な時期「わからない」85.0%
-認知経路はテレビ(47.5%)、新聞・雑誌(41.0%)、インターネット(27.9%)がトップ3。
■低い摂取意向 [出産経験者のうち25%しか意識的な摂取せず]
-2000年の厚労省の呼びかけ以降、出産経験ありの女性でも過去摂取率は25.0%
-葉酸の摂取を「特に意識しない」60.5%。実際に意識して葉酸を摂取しているのはわずか8.0%。
摂取行動がなされていない現状が明らかに
-摂取量への知識も不十分。妊婦の摂取現状「分からない」64.0%、
自らの摂取充足度も「分からない」62.0%。
-妊娠時に摂取すべき栄養素は「カルシウム」と「鉄」が圧倒的。「葉酸」は半数程度。
■医療現場でも推奨不十分 [産婦人科における推奨・指導率は55%]
-葉酸の認知は91.0%と高率。しかし、具体的な働きについては27.5%が「知らない」、
母子手帳への記載も46.7%が「知らない」。
-必要摂取量の認知でも、57.7%が「知らない」という現状が。
-葉酸摂取の現状認識としては62.1%が「不足している」。
一方で患者に摂取を勧めているのは産婦人科で55.1%、全体では36.3%に。

■進まぬ認知 [妊娠予備軍女性の認知率は未婚女性40%、既婚女性54%]
葉酸認知率は妊娠予備軍(20~40代)の未婚女性40.0%、既婚女性54.0%。
葉酸の認知率は妊娠予備軍(20~40代)で未婚女性40.0%、既婚女性54.0%でした。来るべき妊娠・出産に向けて体の準備をする必要のある層への認知獲得が、まずは最初の課題と言えそうです。
一方、7歳以下の子どもあり女性においては75.0%で、出産経験層にはある程度葉酸そのものの認知は進んでいることがわかりました(図1)。
妊娠予備軍女性における葉酸の有用性「知らない」78.0%、有用な時期「わからない」85.0%。
それでは葉酸の有用性や、また摂取時期についての認知はどうでしょうか。妊娠期の女性にとって特に有用である事実の認知は未婚女性で18.0%、既婚女性でも26.0%にとどまりました(図2)。また、有用な時期については、出産経験層であっても「分からない」が半数近く(46.0%)を占めるなど、葉酸は知っているものの、その働きについてはまだあまり知られていないようです(図3)。
認知経路はテレビ(47.5%)、新聞・雑誌(41.0%)、
インターネット(27.9%)がトップ3。
葉酸の認知経路ですが、テレビや新聞・雑誌などマスメディアが上位を占め、この傾向は妊娠予備軍、かつ未婚女性ほど顕著でした。一方で、実際に出産を経験した層は妊娠期にさまざまなルートや場で情報を得る機会があったはずですが、「母親学級」(18.7%)、「母子手帳」(12.0%)、「産婦人科」(17.3%)など、妊婦特有の情報ソースからの認知が意外にも低いことが明らかになっています(図4) 。
2000年の厚労省の呼びかけ以降、出産経験ありの女性でも過去摂取率は25.0%
葉酸の摂取意向や実際の摂取状況についても調査いたしました。2000年に厚労省が摂取を呼びかけ、2002年度から母子健康手帳にも記載されたにも関わらず、出産経験層の妊娠期における摂取意向は28.0%、摂取は25.0%にとどまりました(図5) 。
葉酸の摂取を「特に意識しない」60.5%。実際に意識して葉酸を摂取しているのはわずか8.0%。摂取行動がなされていない現状が明らかに。
葉酸摂取の意識の低さは、一般女性においてはさらに顕著な結果となりました。普段から葉酸を摂取したいという意向があるのは妊娠予備軍女性で未婚女性12.0%、既婚女性24.0% (図6-左) 。実際に摂取しているのは未婚女性はわずかに4.0%、既婚女性であっても12.0%となっています(図6-右)。しかし、胎児の器官が妊娠に気づくか気づかないかの初期(2ヶ月目まで)に主に形成されることを考慮すると、妊娠の可能性のある人は普段の生活から意識して積極的に摂ることが大切と言えます。
摂取量への知識も不十分。妊婦の摂取現状「分からない」64.0%、
自らの摂取充足度も「分からない」62.0%。
特定の栄養素の摂取には、まず「足りていない」という自覚も求められます。妊娠中の女性における葉酸摂取が現在足りているかどうか伺ったところ、「足りていると思う」2.5%、「足りていると思わない」33.5%に対して、「分からない」が64.0%を占めました(図7-左)。また、現在自分の葉酸摂取が足りているかについても62.0%が「分からない」と回答し(図7-右)、摂取状況の認識不足が明らかになっています。
※妊婦の摂取量は一日あたり400μgに対し現状291.3μgで不足。(2003年国民健康・栄養調査より)
妊娠時に摂取すべき栄養素は「カルシウム」と「鉄」が圧倒的。「葉酸」は半数程度。
妊娠したら積極的に実行すべきと思う行動や習慣については、「バランスのよい食生活」や「適度な運動」が上位を占め、「特定の栄養素の摂取」を上げたのは42.0%と半数以下でした(図8)。
さらに 「特定の栄養素の摂取」を上げた方に、特に妊娠時に摂取すべき栄養素を聞いたところ、「カルシウム」86.9%、「鉄」81.0%が圧倒的に多く、次に「葉酸」が47.6%でした(図9)。既に一般女性にとって理解度が高い「カルシウム」「鉄」に加え、「葉酸」も妊婦の三大栄養素として今後の理解促進が望まれます。
■医療現場でも推奨不十分 [産婦人科における推奨・指導率は55%]
葉酸の認知は91.0%と高率。
しかし、具体的な働きについては27.5%が「知らない」、母子手帳への記載も46.7%が「知らない」。
医療関係従事者の葉酸認知率は91.0%。特に産婦人科では98.0%とほとんどの医師・看護師が知っていることが明らかになりました(図10)。しかし、葉酸認知者のうち、葉酸の具体的な働きまで認知しているのは産婦人科系の医師で88.0%、助産婦・看護師で72.9%と、少し心もとない数字になってきています(図11) 。さらに、妊娠期の女性に特に重要な栄養素であるという認知は、葉酸認知者のうち全体で17.6%が「知らない」、母子健康手帳の記載については46.7%が「知らない」という回答を寄せており、医療従事者においてもまだまだ葉酸の重要性が理解されていない現状が見られます(図12)。
必要摂取量の認知でも、57.7%が「知らない」という現状が。
妊婦における葉酸の一日の必要摂取量を聞いたところ、正答である400μgに回答が集中し、認識の正しさが伺えました。しかしながら、葉酸認知者のうち最大の回答は「知らない」で、産婦人科系で46.9%、全体では半数を超える57.7%にも及んでいます(図13)。
また、普通の女性の必要摂取量では180μg~520μgの全ての選択肢で回答が得られるという結果になり、妊娠準備期における必要摂取量の認識にはバラつきがあるようです(図14)。
葉酸摂取の現状認識としては62.1%が「不足している」。
一方で患者に摂取を勧めているのは産婦人科で55.1%、全体では36.3%に。
女性の葉酸摂取の現状認識については、葉酸認知者のうち、全体で62.1%、特に産婦人科では80.6%が「不足している」と回答し、危機感を持っていることが明らかになりました(図15)。
しかしながら実際に摂取を勧めているかについては、葉酸認知者のうち、全体では36.3%、産婦人科であっても半数程度の55.1%にとどまり、不足を認識しながらも患者に対する摂取の推奨につながっていない現状が見えています(図16)。